研究概要 |
本研究はMEPG圧縮された動画像に対する検索手法の開発と実用的システムの構築を目的とし,今年度は,1.昨年度求めた動きベクトルに対するヒストグラム化法およびそのヒストグラム間距離の適用,2.検索キーの一部に欠損のある場合のマッチング手法の確立,3.動きと色情報に基づく動画像の検索対象シーンへの分割法,および4.検索システムの実用化,の4点について研究を行ない,以下の結果を得た. 1.動きベクトルを従来の直交座標ではなく一種の極座標上でヒストグラム処理することで人間の視覚特性にマッチした距離評価が可能となることが昨年度の研究成果として得られている.これを実際に検索に適用し,直交座標を用いた場合に比べ検索効率が改善されることを確認した. 2.昨年度までの検索アルゴリズムでは,例えば動き情報に基づく検索を行なう場合,ユーザは対象物体,背景,カメラの3つの動きを検索キーとして入力する必要があったが,実際にはこれら全ての情報が常に得られるとは限らない.そこで,これらのキー情報の一部に欠損がある場合にもヒストグラムを用いたマッチング処理を可能とする手法を工夫し,ユーザの曖昧な記憶に基づく検索を可能とした. 3.本手法の検索対象は,動きと色が一様なシーンである必要がある.そこで,動きベクトルとDCTのDC成分から求めた色情報を用いて,MPEG符号化された動画像を検索に適した対象シーンに分割する手法を開発した. 4.昨年度および上記の研究成果を統合し,GUIを介したスケッチベースの動画像検索システムのプロトタイプを作成し,その検索効率を評価した.その結果,特に動きに関してユーザの検索意図に近いシーンが検索可能なことが確認された.
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