本研究では、個々のインターネットユーザが体験する実アプリケーションのサービス品質(QoS)を計測・収集し、整理・体系化することにより、すべてのユーザがその情報を共有することを可能にする新たな仕組み(インターネット品質情報共有環境)及び、その仕組みを利用したQoSの制御、管理を実現することを目的とし、次の結果を得た。 (1)インターネットに複数のミラーサーバがある環境において、クライアント側からプローブ用ファイルを定期的にダウンロードし、その際のQoSデータを取得してデータベース化し、その統計データをサーバ選択に利用する方法が有効であることを明らかにした。本技術は、コンテンツ配信ネットワークにおいて利用者に待ち時間のストレスなくコンテンツを提供するための高度コンテンツ配信制御技術への適用が考えられる。 (2)VoIPネットワークにおいて、音声品質を適性に維持するため、VoIP呼生起時にエンド・エンドでプローブフローを生成し、パケット損失率を測定し、その値に基づいて、アドミッションコントロールを行う方式を提案し、これにより、接続されたVoIP呼のパケット損失率と音声品質を制御可能であることを示した。本技術は、VPNやISPのネットワークにおいて、VoIPにサービスレベルアグリーメントを適用する際の基本技術になる。
|