研究概要 |
本年度は主に,以下の4点について検討を行った。 1.フェージング補償 多値の振幅位相を持つ変調信号を用いて移動体通信を行う場合,大きなフェージング変動を受け,しかもその変化は大変速いものになる。本項目では,RLSアルゴリズムを用いたチャンネル推定器により高速に補償する方式を検討し,ブラインド動作可能な(一度誤りが起こっても自動回復する)方式を構築した。 2.相関を考慮したフェージング通信路における多シンボル遅延検波 フェージング補償によっても回避できない高速のフェージングに対して,自己相関を考慮した多シンボル遅延検波を構築し,その誤り率特性を明らかにした。その結果,エラーフロアをかなり低い値に抑える事ができ,移動体通信に有効であることを示した。 3.高速算法 相関を考慮した多シンボル遅延検波は,その良好な符号誤り率特性の裏腹に,受信器における計算負荷が非常に大きいことが判明した。そこで,高速算法を考案した。従来法では,ブロック長の3乗に比例していた計算量を2乗にする事ができ,しかも昨年度検討していたMアルゴリズムと相まって,大幅の計算量削減を達成した。 4.符号化の融合 従来,多値振幅位相変調を用いる符号化変調方式では,同期検波が行われているが,符号化が必要な劣悪な条件下では,同期用信号の再生が困難となることから,非同期で復号化可能なシステムでなければ意味がないと考えられる。そこで,多シンボル遅延検波を核とした符号化変調方式の構築を行った。
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