研究概要 |
多チャンネルパルス時系列のへの最適変換:音声(環境音も含めて考える)を人工内耳の20チャネルの電極パルスに効率良く変換する。このため、音声符号化方式で常用されるマルチパルス音声符号化を適用して最適なパルス位置(時間軸上)と蝸牛内基底膜軸上電極位置(周波数)を決定する時間・周波数空間の最適解を求める最適電極選択・パルス配置のアルゴリズムを検討した。本年度は、最適基準の見直しを行った。すなわち、波形およびスペクトルの最小2乗誤差基準による方法を行ってきたが、良好な結果が得られる場合と破綻する場合があることがら、その要因を目下探索中である。また、電極パルス刺激による聴神経発火パターンの生理実験モデルに基く音響シミュレーションシステムを作成した。これによって、電極刺激信号から精度の良い音響シミュレーションが行えるようになった。 「逆聴覚モデル」による音声伝達情報の評価:聴覚末梢系の生理モデルの逆過程をたどって、聴神経の発火パターンから入力の音響信号を再現した。今年度は神経伝達物質から基底膜振動を復元する非線形モデルの逆問題を種々の制約条件を考慮して、正常な聴覚のモデルから得られる聴神経発火パターンから歪のない入力音を再生するように「逆聴覚モデル」を作成した。聴覚フィルターについてSeneff,Gamma,Ohdairaについて比較検討した。聴覚フィルターの逆変換が不完全なため音質が劣化していると推測している。次年度に改善することが課題である。 以上の研究においてオーディオ入出力システムの完備したパソコン上に信号処理ソフトウェアとして高い評価の得られているMATLABを導入して、音響シミュレーションシステムと聴覚末梢系の逆聴覚モデルをユーザフレンドリなGUIインターフェイス上に作成した。
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