• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2001 年度 実績報告書

聴覚末梢系モデルの逆解法による人工内耳システムの研究

研究課題

研究課題/領域番号 12650375
研究機関静岡大学

研究代表者

北澤 茂良  静岡大学, 情報学部, 教授 (00109018)

研究分担者 北村 達也  静岡大学, 情報学部, 助手 (60293594)
キーワード聴覚末梢系モデル / 人工内耳 / マルチパルス符号化 / 人工内耳聴取音 / 音響シミュレーション / インタビュー
研究概要

音声(環境音も含めて考える)を人工内耳の20チャネルの電極パルスに効率良く変換する。このため、音声符号化方式で常用されるマルチパルス音声符号化を適用して最適なパルス位置(時間軸上)と蝸牛内基底膜軸上電極位置(周波数)を決定する時間・周波数空間の最適解を求める。本年度は、最適基準の見直しを行った。すなわち、波形およびスペクトルの最小2乗誤差基準による方法で良好な結果がた。
人工内耳装用者がどのような『音』を聞いているのか。果たして「音響シミュレーション」が人工内耳装用者の聴取している「音」に対応しているのかという疑問に何らかの手掛りを得たいと考えて、浜松医科大学で人工内耳を埋め込んだ数十名に詳しくインタビューを行った。その結果、音響シミュレーションで模擬しているのは人工内耳の音入れの瞬間の「音」に近いこと、その後,人工内耳装用者は急速に(数分以内に)学習し、かつて聴取していた記憶のある「音」と関連付けを行い、数ヶ月後には昔のように聞えている(というつもりになるようである)。しかし、それは本人の意識の上であって、本当によく聞えているのではない。というのは、家族友人たちなど,親しい人たちの声は以前のように聞えるが,見知らぬ人であれば甚だ聞き取りにくいという。そこで、人工内耳埋め込み手術を終えて2週間後に初めての音入れに立会い、音入れの瞬間に聞えるのはどんな『音』なのかを聞き取っている。
音響シミュレーションでは信号合成上の技術的問題の所為でしばしば音の歪や雑音の混入が起こるが,このような問題は人工内耳装用者にとっては全くの無関係な問題であることが最近の一連のインタビューの中で明らかになった。誰一人として人工内耳の雑音がわずらわしいと訴える人は居なかった。従って、音響シミュレーションに当っては、極力に合成音の整形に努め、不要な歪によるところの妨害によって人工内耳音の音質評価を誤ってはならないという教訓が得られた。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Dashtseren Erdenebat, Kitazawa Shigeyoshi, Kitamura Tatsuya: "A New Feature Driven Cochlear Implant Speech Processing Strategy"Proceedings of EURO SPEECH 2001. 415-418 (2001)

  • [文献書誌] 河合恭幸, 北澤茂良, 北村達也: "多チャンネルの音声波形分解による人工内耳刺激信号生成方式について"日本音響学会2001年秋季研究発表会講演論文集. 675-676 (2001)

  • [文献書誌] 河合恭幸, 松本浩敬, 北澤茂良, 北村達也: "人工内耳信号生成方式におけるインパルス応答の帯域幅の検討"日本音響学会2002年春季研究発表会講演論文集. 685-686 (2002)

  • [文献書誌] Dashtseren Erdenebat, Kitamura Tatsuya, Kitazawa Shigeyoshi: "Effect of low pass filtering on stimulation pulse gener ation for Cochlear Implant Speech processors"日本音響学会2002年春季研究発表会講演論文集. 689-690 (2002)

  • [文献書誌] 松本浩敬, 松原太郎, 河合恭幸, D.Erdenebat, 北村達也, 北澤茂良: "人工内耳の聴取音の聞き取り調査"日本音響学会2002年春季研究発表会講演論文集. 507-508 (2002)

  • [文献書誌] 河合恭幸, 北澤茂良, 北村達也: "離散帯域への音声波形分解を用いた人工内耳音声生成方式の改善 p.2001.11"電気関係学会東海支部連合大会. 247-247 (2001)

URL: 

公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi