・電子サイン照合への応用に関する実験 筆跡に関する署名データを、ウェーヴレット変換によりレベル(周波数)毎に分解した後、それぞれのレベルにおいて適応信号処理により本人と詐称者の違いを見いだし、最後に、それらの結果を用いて総合的に本人であるかどうかを判別する方法について検討を行った。その結果、・入力データと照合用データでのストローク数の一致を図るため、Dynamic Programming (DP)法を導入し、±2以内のストロークであれば本人署名候補データとして取り扱うこととした。 ・適応信号処理による照合アルゴリズムでは、照合の高速化を図るため、正規化ステップサイズアルゴリズムの導入を行った。 ・総合判定では、筆跡データの上位4レベル判別結果(適応係数収束値)の平均値が判定閾値より大きければ本人、そうでなければ詐称者であると判別する方式とした。 ・判定閾値を0.25程度とした場合、本人拒否率と詐称者受け入れ率が同じとなる等誤り率は約11%であった。 以上のことより、最終的な識別率として90%近くが実現された。 今回は各レベルでの識別結果を平均化することにより総合的な照合を行ったが、今後はそれぞれのレベルに重み付けを行うことや、ニューラルネット等による非線形処理による識別が課題である。
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