研究概要 |
本研究では電子サイン情報をウェーヴレット変換により時間-周波数解析することによりその違いを明確にし、照合率の向上を目指したものであった。以下に見いだされたことがらを示す。 ・マザー・ウェーヴレットとしてはDaubechiesのものが最適である ・データに依存しないため、時間軸上でのデータ数の正規化が必要 ・入力データと照合用データでのストローク数の一致を図るため、Dynamic Programming (DP)法を導入し、±2以内のストロークであれば本人署名候補データとして取り扱う ・照合用データは各レベルでの5つのパターンの平均を用いる ・レベル1〜4(高周波数)では個人内での変動が非常に大きく,照合には適さない ・レベル9〜10(低周波数)では個人差が現れにくい ・適応信号処理による照合アルゴリズムでは、照合の高速化を図るため、正規化ステップサイズアルゴリズムの導入が必要 ・適応係数の収束値による判別,すなわち,本人であれば1に近づき,詐称者であれば0に近づくという単純な方法により,判別が可能 ・総合判定では、筆跡データの上位4レベル判別結果(適応係数収束値)の平均値が判定閾値より大きければ本人、そうでなければ詐称者であると判別する 結果として、判定閾値を0.25程度とした場合、本人拒否率と詐称者受け入れ率が同じとなる等誤り率は約11%であり、最終的な識別率として90%近くが実現された。
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