研究概要 |
「自律分散型マルチチャネル能動騒音制御システムの研究」に関連して,平成13年度に得られた成果は次の通りである. 1 昨年度に引き続き,連立方程式法によるマルチチャネル能動騒音制御システムの問題点である,計算量の削減について検討した.その結果,補助フィルタの同定を必要としないアルゴリズムを新たに得ることが出来た.この手法によれば,約4分3に計算量を軽減することができる.周波数領域のアルゴリズムと組み合わせることも可能であり,さらに大きな削減が期待できるが,この点については評価中である.また補助フィルタを用いる場合は,補助フィルタの同定精度により,性能が大きく変化したが,この手法の場合,一定サンプル区間ごとに繰り返せば,十分な消音量を得ることができる. 2 入力信号間の相関による性能の劣化については,適応アルゴリズムをNLMSアルゴリズムから新規に開発したNLMSEE'アルゴリズムに変更することによって,補助フィルタを用いる場合について,この問題の解決を図った.それにより,補助フィルタの収束速度を大幅に改善することができた.入力信号そのものが有色な場合についても,これにより対応できた. 3 制御器間の通信量は,1,2のアルゴリズムのリファインを考慮すれば,かなり減少させることが可能との感触を得た. 4 DSPへの実装については,マルチチャネルでの実装を検討したが,アルゴリズムのリファインを優先したため,完全に問題を洗い出すまでにはいたらなかった. 以上のように,4のDSPへの実装を除いては本年度の実施計画をほぼ達成できたと考えている.
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