ファイバグレーティングは新型の光デバイスとして、半導体レーザやファイバレーザのスペクトル制御に用いられており、波長の安定化や狭帯域化が実現できる。また面発光レーザは円形のビームを出射するためマルチモードファイバ等の結合に適している。しかし面発光レーザとファイバグレーティングを利用した光ファイバ伝送はまだ行われていない。 本研究では、マルチモードファイバグレーティングによって面発光レーザの狭帯域かつ特定モードの発振を行い、これを光源としたファイバ長数km、700Mb/sの光通信システムを実際に構成し、伝送特性の測定を行なった。 最初にGI型マルチモードファイバに0.8μm帯のブラッググレーティングを形成し、これに面発光レーザを結合した。ブラッググレーティングの使用により発振スペクトル幅は1/2〜1/3に減少した。また1kmのマルチモードファイバで700Mb/sのディジタル伝送を行なうと、符号誤り率10^<-9>でパワーペナルティーが最大2dB減少した。これらの特性はファイバグレーティングの温度に依存した。これらの実験結果をファイバの主モードとブラッグ波長の関係から考察した。また面発光レーザの横モードパターンを測定した結果、伝搬モードの減少が認められた。 さらにファイバ長を2kmとしたところ、1kmの場合と同様、ファイバグレーティングの効果により、誤り率の減少が認められたが、実用レベルとされる10^<-9>の誤り率は700Mb/sでは実現できず、500Mb/sとなった。
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