ミリ波立体集積回路の開発と設計法に関する研究

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12650389
• 研究機関: 姫路工業大学
• 研究代表者: 太田 勲 姫路工業大学, 工学部, 教授 (80047612)
• 研究分担者: 河合 正 姫路工業大学, 工学部, 助手 (30275309)
• キーワード: マイクロ波 / マイクロ波受動回路素子 / 導波管回路 / 電力分配回路 / ハイブリッド / マルチポート回路

研究概要

1.E面導波管回路素子の設計
(1)E面方形導波管を放射状に接続した同軸空胴型ラジアルマルチポート回路を取り扱い、E面平面回路法を用いた解析法を確立すると共に、ラットレース回路の最適設計に応用し、ミリ波帯で良好な特性を実現した。
(2)E面平面回路法と素回路法を用いて多段ステップ、多分割、コーナーなどを短時間で解析・設計する手法を示した。
(3)(2)で得られた多段ステッブ、多分割、コーナーを近接配置した多分割電力分配器の一体化設計を試み、実用的な特性を有する小型回路を実現した。各バンドの全周波数帯域に亘って低反射、等分配特性を実現した。
(4)X、Kバンドで3電力分配器の試作実験を行い、設計法の妥当性を確認した。
2.NRDガイド系回路と導波管回路を併用したミリ波受動回路
(1)TRT法(横共振法)による導波管-HNRDガイド変換器の解析法とそれを用いた最適設計法を示した。
(2)導波管-HNRDガイド変換器を入出力部にもつ方形空胴型方向性結合器を最適設計し、60GHz帯で2GHzの帯域を有する回路を実現した。
3.H面導波管回路素子の設計
上記1.に加えてH面内にのみ回路形状の変化を有するミリ波帯立体集積回路の開発も新たに行った。
(1)複雑な整合素子を必要としないステッブ構造のショートスロットハイブリッドを提案すると共に、等価多線条伝送線路法を用いて最適設計を試み、ミリ波帯等で30%以上の比帯域を有する回路を実現した。
(2)前述のハイブリッド4個を用いた8ポートハイブリッドの提案と設計も行った。
以上の解析・設計法の妥当性は3次元電磁界シミュレータによる模擬実験でも確認した。
4.今後の課題
MoLによるNRDガイドの解析法の確立と上記で得られた基本回路要素を利用した導波管/NRDガイド併用立体集積回路の検討を行う。また、これらを一括解析/設計する電磁界シミュレータの開発と試作実験も行う。

研究成果

• [文献書誌] 岸原充佳: "Design of HNRD Guide to E-Plane Waveguide Transitions and Directional Couplers by Transverse Resonance Technique"2001 IEEE International Microwave Symposium Digest. (in print). (2001)
• [文献書誌] 岸原充佳: "E面同軸空胴型ラジアルマルチポートの解析とラットレース回路の最適設計への応用"電子情報通信学会論文誌. J83-C・12. 1109-1112 (2000)
• [文献書誌] 肥野明大: "広帯域小型H面方向性結合器の設計"電子情報通信学会技術研究報告(マイクロ波). 100・528. 85-92 (2000)
• [文献書誌] 河合正: "多段ステッブ,多分割,コーナーで構成されたE面電力分配器の一体化設計"電子情報通信学会技術研究報告(マイクロ波). 100・306. 1-6 (2000)
• [文献書誌] 岸原充佳: "HNRDガイド-E面導波管一体構造を利用した方向性結合器"2000年電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集. エレクトロニクス1. 92 (2000)
• [文献書誌] 肥野明大: "H面方形空胴型3dB方向結合器の設計"2000年電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集. エレクトロニクス1. 97 (2000)
• [文献書誌] 鍋野恭宏: "E面多分割電力分配器の設計"2000年電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集. エレクトロニクス1. 98 (2000)
• [文献書誌] 鍋野恭宏: "E面3電力分配器の一体化設計"平成12年電気関係学会関西支部連合大会講演論文集. G225 (2000)
• [文献書誌] 肥野明大: "ミリ波帯H面方向性結合器の設計"平成12年電気関係学会関西支部連合大会講演論文集. G226 (2000)
• [文献書誌] 肥野明大: "ショートスロット8ポートハイブリッド"2001年電子情報通信学会総合大会講演論文集. エレクトロニクス1. 142 (2001)