研究概要 |
エージェント外の環境の変化に適応する環境適応型エージェントについて事例研究を通してその有効性を示した.具体的には,複数のマルチキャストツリーの予約,自動車走行制御スケジューリングに対してマルチエージェント,インプリサイス計算に基づいた手法を提案し,シミュレーション実験を用いて適応性を評価した. 各ソースノードから特定のグループに同じ情報を流すマルチキャストを行うためには情報の伝送路を構成するマルチキャストツリーを予約する必要がある.複数のマルチキャストツリーを同時期に予約する場合,できるだけリンクを共有しないように複数のマルチキャストツリーを予約することが望ましい.この問題に対して各ノードに配置されたエージェント間のメッセージ交換により,マルチキャストツリー候補のなかから最適なマルチキャストツリーを求める手法を提案した.シミュレーション実験により,提案法の処理時間はツリー数および候補数に比例して増加しないことを示した. 高度交通システム(ITS)に関連して、インプリサイス計算に基づく高速道路の自動車走行制御スケジューリングについて研究を進めた。インプリサイス計算では,正常の負荷では解の精度を維持し,異常の負荷が発生した場合には解の精度を落とすことにより,デッドラインまでの計算完了を保証する.このインプリサイス計算の概念を応用し,高速道路上の輻輳状態の変化に適応して複数の自動車走行制御スケジューリングを切り替える手法を提案した.シミュレーション実験により,輻輳状態が変化しても効率的な自動車走行が実現できることを示した. いずれの事例研究に対しても,環境適応型エージェントに基づく手法は変化に対する適応性が高い.これらの研究成果からネットワークソフトウェアの設計には環境適応型エージェントに基づく手法が有効であると考えられる.
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