本研究では、ファジィ推論ニューラルネットワークを用いた新しい画像認識の研究を行った。具体的には、オブジェクト間の位置関係を考慮に入れた手法を提案した。 提案システムは学習により自動的に画像認識を行なうことができる。その構成は1)領域分割過程2)対象認識過程の2過程から成っている。まず、領域分割過程においては、K平均アルゴリズムを基にした手法により画像の分割を行なう。次の画像認識過程は、画像の絶対的な位置情報と色情報から推論する部分と、対象の位置関係という相対的な位置から推論する部分から構成される。これらの部分は、学習機能を持つニューラルネットワークと、ファジィの融合によるファジィ推論ニューラルネットワーク(FINN)を基にしたネットワークを利用している。これらにより、画像の認識に関する絶対的な位置に関するルールと相対的な位置に関するルールが抽出可能となっている。本研究では風景画像を例題として用い、自動学習により獲得されたルールから良好な認識結果が得られる事が確認されている。 本年度の課題としては、計算量の削減とファジィ推論ニューラルネットワークそのものの改善があげられていた。前者の計算量の削減に関しては、これまでのピクセル単位の認識ではなく、K平均アルゴリズムを用いて領域に拡張した部分を認識単位としたため、大幅な計算量削減が可能となった。後者に関しては、今年度はオブジェクト間の位置関係の考慮を優先したため、来年度に行う予定である。 さらに今後は、人工物、例えば、ビルや橋梁、道路などを含む画像を扱い、より汎用性を高めていく。
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