研究概要 |
近年,誤り訂正符号の分野で提案されたTurbo符号,Turbo復号法はその誤り訂正能力の高さから21世紀の高信頼度情報通信,蓄積技術の重要な技術として注目を集めている.最近このTurbo復号を含む反復復号アルゴリズムが,知識情報処理の分野で不確実推論アルゴリズムとして用いられている確信度伝搬(BP : Belief Propagation)アルゴリズムの応用例として解釈されることが明らかとなってきた.しかし,残念ながら複雑な確率構造(グラフ表現ではループのある構造)にBPアルゴリズムを適応した場合の性能は保証されておらず,いまだにTurbo復号法の理論的裏付けは不完全と言わざるを得ない.本研究では,BPアルゴリズムだけではなく,不確実推論の分野で用いられるアルゴリズムを事後確率計算法として一般化し,有用な符号を含む一般的確率モデルに対して,精度保証がある事後確率計算(復号)アルゴリズムの設計と理論的及び実験的解析を行うことであった. 今年度においては, 1.事後分布を拡張した一般化事後分布を定義し,証拠として,ある事象の分布が与えられたもとでの確率推論を一般化確率推論として定式化し,その推論結果に保証があるアルゴリズムを提案し,その性質を解析した.さらに計算量・メモリ量の効率をより良くしたアルゴリズムと並列アルゴリズムへの改善,及び性能解析を行った. 2.上記のアルゴリズムを,ジャンクショングラフ(JG)を拡張した拡張JGに適用して,効率的伝播アルゴリズムを提案し,その性質について考察した. 3.LDPC符号より拡張JGを構成し,2のアルゴリズムを復号アルゴリズムとして適用し,その性質について理論及び実験の両面から考察した. 4.畳み込み符号やtail-biting畳み込み符号についても拡張JGを用いて符号を表現し,2のアルゴリズムにより復号を行い,その性質について理論及び実験の両面から考察した.
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