(1)ストリーミングメディアに適した分散キャッシング方式 現状のキャッシングメカニズムでは、キャッシュサーバが全データをキャッシュするため、対象が動画像のような莫大なデータになると極めて効率が低下する。そこで、ストリーミングデータはセグメントと呼ばれる小単位でキャッシュを行う方式、およびキャッシュサーバを階層的に配置し、サーバ間の連携によってセグメントのキャッシュを分担する方式、について検討を行った。シミュレーションを実行し、提案方式が従来方式に対してキャッシュヒット率を15%程度改善できること、及びネットワーク全体のトラヒック量を20%以上削減できること、を明らかにした。 (2)Webキャッシングと親和性を持つストリーミングキャッシュ方式 上記の方式はストリーミングメディアに対しては大きな改善結果をもたらすが、その反面、既存のWebデータのキャッシュ効率を低減させる危険性がある。そこで、キャッシュ容量におけるストリーミングデータのキャッシュ量を制限し、Webキャッシュ、ストリームキャッシュそれぞれの効率を高く保つ方式について検討を行った。シミュレーションを実行し、特にストリームデータ量の多い時に、提案方式が大幅なキャッシュヒット率の改善をもたらすことを明らかにした。 (3)階層化データのプリフェッチアルゴリズムの提案とその理論解析 Webデータのキャッシュアルゴリズムとしてデータを先取りしてしまうプリフェッチングが注目されている。本検討では、主に画像の階層化データを対象とし、嗜好度に応じてプリフェッチの実行の是非を決定するアルゴリズム、並びにその理論解析とシミュレーション評価を行い、提案方式の有効性を明らかにした。今後は対象をストリーミングデータに拡張し、ストリーミングデータに適したプリフェッチングアルゴリズムの検討を進めていく予定である。
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