研究概要 |
本年度は、衝突センサ、光センサなど複数のセンサにより小型無線ロボットの移動を行う際、センサの感度やロボットの駆動系により、移動誤差が生じることを調べ、ロボットの経路制御に正確な位置情報を用いることは困難であることが明らかとなった。この結果、昨年度検討したロボットの障害物回避、経路探索用アルゴリズムにロボット周囲の環境情報を利用する手法を提案した。本手法は周囲環境が変化するポイントのセンサ情報とロボットの行動履歴を元に、行動決定を行い、目的地に到達させることにより、正確な位置情報を必要としない新しい手法である。また、ロボットの移動誤差を考慮した計算機シミュレーションで本手法の有効性を行っている。さらに、マイクロホンセンサで集音した音から、危険音(たとえば、ガラスの割れる音)を識別するウェーブレット変換とニューラルネットワークを用いた新しい手法も提案し、実際にガラスの割れる音を識別可能であることを確認した。 つぎに、屋内における無線信号の伝送特性について、前年度に引き続き、多重波伝搬遅延に関する測定およびそのデータ解析、ならびにシミュレーションによる検討を行った。すなわち、大学内の異なった室内伝搬環境下で得られたUHF帯(0.43,1.3,2.5GHz)伝搬実験結果の解析を進めると共に、新たに、より広帯域伝送の可能なSHF帯(5.2GHz)での実験を行い、直接到来波を除いた多重遅延波のみの平均、標準偏差、実効伝送帯域幅等を求め、それらの相関関係ならびに周波数特性等について、各種遅延特性を定量的に明らかにしつつある。また、レイトレーシングによるシミュレーションの計算結果と測定値の比較検討を進めて、室内多重波伝搬モデルの確立を目指しているところである。
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