現在、急速に加速している高齢化社会においては、人間による介護には限界があり、ロボットによる介護支援が必須になるものと考えられる。本研究は、支援ロボットを屋内環境で制御するための無線伝送方式と介護を必要とする人の監視情報の信号処理およびこれらを反映したロボットの最適制御に関する研究を行ったものである。平成12年度は、小型移動ロボットを無線LANで動かし、センサの感度や無線による制御の応答特性を調べた結果、・非接触型センサによる障害物の検出精度が低い・無線による情報の送受信には時間ずれがかなりあることが明らかになった。また監視情報の信号処理として2つのマイクロホンで得た信号から音の到来方向を推定する手法を提案し、室内環境で30度程度の角度範囲で推定可能であることを明らかにした。平成13年度は、ロボットの制御信号に利用する無線信号の伝送特性について、大学内の異なった室内伝搬環境下でUHF帯の伝搬実験を行い、実効伝送帯域幅、遅延特性の算出ならびにレイトレーシングによる室内多重波伝搬モデルの検討を行った。また、ロボットの周囲環境が変化するポイントのセンサ情報と行動履歴をもとに移動する新しい経路探索手法を提案した。平成14年度は、屋内無線信号の伝送特性において広帯域なSHF帯での実験を行い、多重波伝搬遅延について明らかにした。また複数台の無線ロボット置かれる無線LAN環境において、無線が瞬断しても、監視信号を配信可能とする自律的なルーティンアルゴリズムを提案し、実際のインターネット環境で実験を行い、遅延揺らぎの少ない配信を実現した。
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