研究概要 |
筆者の所属する大学のキャンパス(和歌山)の周辺には,数多くの無形・有形の文化財が存在する.中でも和歌山県が指定している無形の文化財(民俗芸能を含む)は72件あり,とりわけ「寒川祭」や「大瀬の太鼓踊」,「上阿田木神社の春祭り」および「六斎念仏」は後継者も少なく,その動きや技巧,歴史を後世に伝える必要がありディジタルアーカイブとしての保存は急を要するものである.また,キャンパス周辺のみならず和歌山県には歴史的遺産や国際的に有名な建造物,物産も数多く存在している.本研究では,これらを対象にした動画像・音声・3次元CG化・動作情報・書物による情報を集約し,ディジタルアーカイブとしITを用いたコミュニケーションやコンテンツとして広く提供する. 本ディジタルアーカイブ構想には,物産の紹介と地域毎の商品販売店舗を対象とする販売システムも包含している.このため,スムーズな情報取得と共に各地域の個性,特徴や伝統のある商品の電子商取引が可能になるため,地域活性の起爆剤としての利用も行えると筆者は確信している.完成した成果物は,官庁ともタイアップし図書館や美術館,博物館や物産展示コーナー,さらには各種イベントで容易に扱えるようなシステムとする. 以上のように,本来は共通性に乏しかった「産学官」の枠組みのみならず「文化」と「経済」をもディジタルアーカイブ構想により融合し,新しい動的コンテンツとしての試行を提案する. 現在は,緊急度の高い「寒川祭」の調査を開始しており,踊りの動作解析(無形文化財の保存)とウェブ技術を用いた画像データベースを http://www.mm.info.waka.kindai.ac.jp/sougawa/index.html にアップロードし,国内外への情報発信の試作試行を重ねている.
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