研究概要 |
1.標本化格子の位相変調に基づく電子透かしの復号信号処理の検討 JPEG方式に対する復号誤り率特性を実験的に検討した. その結果,まず画素値が有限ビット数で表されることによる誤差をなくすため,符号化信号処理におけるフィードバック処理を導入した.次に復号信号処理において,シンボルの判定に使用する閾値を適応的に変化させることにより,復号誤り率ができることを確認した. 2.誤り訂正符号と暗号手法に基づく電子透かし 標本化格子の位相変調に基づく電子透かし手法には,高画質であるという特長があるものの攻撃耐性の向上についてはかなりの制限があることが本研究で判明した. 今後このような手法を発展させる方向として,単独ではなくシステムとして組み合わせて利用することが考えられる.その一つの試みとして,改ざんの検出を可能とする付加情報の埋め込み手法を提案した. この手法は,復号に原画像を使用しないにもかかわらず,どのような画像であっても,全ての画素についてほぼ厳密な改ざんの検出ができる.また,暗号方式として公開鍵暗号を用い,且つ符号理論を組み合わせ,画像データより少ないデータ量である検査記号に署名することによって,画像情報全体に署名を施したのと同様の効果が期待できること,それと同時に単なる署名としての機能だけではなく改ざんの程度が少なければ,改ざん前の情報の復元が可能であること等が特長としてあげられる.
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