研究概要 |
電動四輪車などの福祉機器の開発が進み,比較的安価なハードウエアの提供がなされ,これらの高性能な機器の一般的な使用が盛んに行われてきている.この高度な性能を持つ機器を,非熟練者や障害者が安全に使用するためには,介護している人間が現在行っているような適切な支援を,計算機で実現するシステムが必要である.このシステムの開発にあたっては,特に,人間を尊重しながら人間の運転・操作を如何に支援するかが,解決すべき重要な課題である.本研究では,この課題を解決するため,人間の運転モデルを内在させ,下手な運転を許容した知的制御手法を適用した知的運転支援のハード・ソフトをシステムとして試作・構築する. 本年度は,これまで無線操縦の模型自動車を用いて開発してきた自動走行の仕組みを,福祉車両として一般に提供されている電動四輪車と,それに搭載したコンピュータに組み込んだ.誘導員を模擬して離散的に路側に置いたバーコードによる走行指示により,人を載せて柔軟な自動運転走行ができることを確認した.また,知的運転支援の基礎実験として,建物の4階からCCDカメラにて認識した周囲の状況を受け取り,3秒ごとに人間に対して走行支援を行う実験を行い,提案システムの基本性能を確認した.さらに,人間の運転を想定し,支援者の知識に基づき,所定の場所に四輪車を移動させる運転支援方式の高度化とそのシミュレーションによる評価を行った. 今後,この知的運転支援システムの四輪車での実験を通して,提案システムの有効性を検証する.
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