研究概要 |
電動四輪車などの福祉機器の開発が進み,比較的安価なハードウエアの提供がなされ,これらの高性能な機器の一般的な使用が盛んに行われてきている.この高度な性能を持つ機器を,非熟練者や障害者が安全に使用するためには,介護している人間が現在行っているような適切な支援を,計算機で実現するシステムが必要である.このシステムの開発にあたっては,特に,人間を尊重しながら人間の運転・操作を如何に支援するかが,解決すべき重要な課題である.本研究では,この課題を解決するため,人間の運転モデルを内在させ,下手な運転を許容した知的制御手法を適用した知的運転支援のハード・ソフトをシステムとして試作・構築する. 昨年度は,実際に人間が乗車可能な福祉用四輪車に計算機を搭載し,コンピュータによる自動運転を実現,画像等による周囲状況の認識,計測の基礎実験を行った. 今年度は,1)車両に液晶ディスプレイとタッチパネルを装着し,画面上に表示された前方の風景に対して,行きたい地点と車の方向を画面上で指示できる装置を開発し,簡単な指示により車の特性を組み込んで,切り返しなどの複雑な走行が可能なシステムを開発した.また,2)人間が直接操作する場合を想定し,非熟練操作者の特性を理解している支援者の知識を組み込み,音声により適切な走行支援の情報提供を行うシステムを開発し有効性を評価した.さらに,3)従来人手に頼っていた走行知識の設定を強化学習の方式を適用し計算機により自動的に知識獲得を行う方式を提案し,基本的知識の獲得が可能であることを確認した. 今後,この知的運転支援システムの四輪車での実験を通して,提案システムの有効性を検証する.
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