研究概要 |
電動四輪車などの福祉機器の開発が進み,比較的安価なハードウエアの提供がなされ,これらの高性能な機器の一般的な使用が盛んに行われてきている.この高度な性能を持つ機器を,非熟練者や障害者が安全に使用するためには,介護している人間が現在行っているような適切な支援を,計算機で実現するシステムが必要である.このシステムの開発にあたっては,特に,人間を尊重しながら人間の運転・操作を如何に支援するかが,解決すべき重要な課題である.本研究では,この課題を解決するため,人間の運転モデルを内在させ,下手な運転を許容した知的制御手法を適用した知的運転支援のハード・ソフトをシステムとして試作・構築を行った. 平成12,13年度において,実際に人間が乗車可能な福祉用四輪自動車に計算機を搭載し,1)乗車した人間の簡単な指示に基づき,周囲の状況や現在位置を勘案し適切な車の操作を行う機能を持っ知的運転システムの開発,2)人間が直接操作する場合を想定し,非熟練操作者の特性を理解している支援者の知識を組み込み,音声により適切な走行支援の情報提供を行うシステムの開発,さらに,3)従来人手に頼っていた走行知識の設定を強化学習の方式を適用し計算機により自動的に知識獲得を行う方式を提案し,有効性を確認した. 平成14年度は,本研究課題のまとめとして,支援者,介護者の知識を組み込み,人間の運転操作を認識し,人間に対して適切なガイダンスを,音声やグラフィック表示により告知すると共に,利用者とのインタフェースを改善し,実車両を用いた総合評価により,開発した知的運転支援システムの有効性を確認した.
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