研究概要 |
データからファジィルールを抽出してパターン認識を行う方法はこれまでにいくつが提案されており,多層ニューラルネットより学習が早く,入力が連続のときに高い汎化能力を発揮できる方法も開発されている.しかしながら,これらの方式の相互関係は明確でなく,また学習方式も個別の学習方式が開発されていた.このため本研究では,ファジィパターン認識システムの体系化を行い,ファジィパターン認識システムの統一的な学習パラダイムを開発することを目的として,平成12年度は以下の開発を行った. 1.種々の形状を持つ多次元メンバーシップ関数の開発 多次元入力空間で入力軸に平行な超四角錐(超四角錐台),超多角錐(超多角錐台),釣鐘状の形状のメンバーシップ関数を開発した.またメンバーシップ関数の形状の差により,クラス間の境界にどのような差が生じるか理論的に解析すると共に境界を解析するコンピュータソフトウエアを作成して評価した. 2.ファジィパターン認識システムの学習パラダイムの開発 メンバーシップ関数の傾きおよび入力変数をパラメータとして認識率の変化する点を解析的に求め,認識率が最大になる傾きの区間および入力変数の位置の区間を求め,それらの区間内にメンバーシップ関数の傾きおよび位置を調整することにより,認識率を直接的に最大化する学習方式を開発した.さらに釣鐘状のメンバーシップ関数を持つファジィパターン認識システム(従来開発済みの楕円領域をもつファジィシステム)に,上記の学習法を組み込んだソフトウエアを開発した. 3.超多面体領域を持つファジィパターン認識システムの開発 一つの教師データから出発して新たな教師データがすでに生成された凸超多面体の外部にあるときに,凸超多面体を修正してゆくことにより,各クラスの教師データの存在領域を凸超多面体で近似する手法を開発した.これに基づいて超多面体に対して超多角錐のメンバーシップ関数を定義して,ファジィパターン認識を行う手法を開発した.
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