研究概要 |
本研究で新たに提案した高速ルーティングアルゴリズムであるノード挿入法を深化させ,高速度・高精度であることを実証実験により明らかにした。 また,実時間Dial-a-Rideシステムにこのノード挿入法を適用し,この手法を乗客割当て問題も含めた処理に応用したシステムを構築した。このシステムでは処理速度の高速化を目指し,バス発車後の経路変更を許容することにより乗車効率の向上も考慮した。この実時間Dial-a-Rideシステムを以前に提案した不定期発車法と比較したシミュレーションにより,バスの総走行距離,乗客の乗車依頼から目的地到着までの所要時間,平均乗車人数,バスステーションからの発車回数およびバスステーションに必要となる投入台数について大きな改善が確認できた。特に,投入台数を半分以下に抑制できたことは,実際にシステムを運用する上で大きな利点である。 更に,このシステムの渋滞などの道路状況を考慮した実時間Dial-a-Rideシステムへの適応についても検討した。すなわち,運行中の路線バスから得られるバス停間の実測所要時間やバスの現在位置等のデータを基に,道路状況を考慮した動的に更新される地図データベースを構築し,このデータベースをDial-a-Rideシステムに実装した。当然の結果ではあるが,道路状況を考慮することで走行時間の短縮を図ることができた。現時刻の渋滞情報を用いてルートやスケジューリングを決定しても,現時刻では最適かもしれないが,巡回中には必ずしも最適ではなくなる。従って,巡回中にも最適を保障するDial-a-Rideシステムの実現が今後の課題である。
|