研究概要 |
昨年度は3次元CT(Computed Tomography)の一種であるラミノグラフィ(別名エクトモグラフィともいう)の3次元画像再構成法について検討するとともに、今後は得られた3次元構造を効率的に表現できる形状表現あるいは形状モデリングの重要性を指摘した。 今年度はCT,MRIあるいは他の3次元形状計測装置で計測される3次元座標データに基づき、対象の3次元形状の効率的な表現法について主に研究した。 まず、陰関数を用いた形状表現法として拡張Hyperquadric関数による手法を提案した。この関数を用いることにより、従来までの関数のよる方法では表現できなかった形状も十分精度よく、かつ少ないパラメータで効率的に表現できることを明らかにした。 医療応用のような場合には、微細な構造まで完全に表現できる手法が必要となる。そこで、さらに詳細な形状まで精度よく表現できるものとして、三角形メッシュを用いる手法について研究した。大域的な構造と微細な構造を表す変位の2つのデータで形状を表現する手法を提案した。大域的な構造は、入力データから基本構造を保存したまま頂点やメッシュを削減してベースメッシュを構成し、これにLoopの細分割を適用して構築する。微細な形状はこれからの方向性をもった変位で表現するものである。入力データの微細構造まで追従する方向性変位を求めるために、乗数法に基づく最適化を用いる手法を提案した。これによって不規則なメッシュ構造であった入力の形状は、規則性のあるメッシュ構造に変換され、この規則性を用いることによって少ないデータ量で効率的な表現が可能となることを示した。また微細構造まで十分な精度で保存された形状表現となる。 方向性変位の性質を用いたデータ圧縮法についても検討を行った。 関数による表現、三角形メッシュによる表現いずれの場合も各種の実際の3次元座標データを用いて形状表現を実現し、その有効性を検証した。
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