研究概要 |
液晶ディスプレイには,観視方位角によって,画質が大きく変化するという視野角特性が存在する.現在,この視野角はコントラストのみで定義されているが,それでは不十分であり,輝度やコントラスト以外に中間調再現特性(ガンマ)や色も考慮する必要がある.そして,これらの要因を単独に変化させたときに得られる単独画質を総合して,総合画質で視野角を定義する方法を申請者らは既に提案している.しかし,この方法に基づいて行なわれた主観評価実験の結果により,ガンマ,輝度,コントラストを変化させた場合の画質に対する影響に関して,画質要因の間に依存関係が存在することが示唆された. そこで,本研究では,画像品質を評価指針としたときのガンマとコントラストの最適値及び許容範囲が,画像の表示輝度に依存して変化することを,各種画像の主観評価実験結果を統計処理することで明らかにすることを目的としている. 今研究期間は,輝度とガンマを同時に変化させたとき,このことが画質にどのような影響を与えるかを調査した.そのため,ITU勧告のハイビジョン観視条件により実験システムを構成し,ガンマと輝度を同時に変化させた評価画像を作成した.そして,被験者20名に対して,評価語として5段階のカテゴリを用いて,主観評価実験を行った.主観評価実験の結果を系列カテゴリ法で処理し,最適ガンマ,許容範囲を求めた.その結果,画質に対する影響はガンマの方が輝度より大きいこと,ガンマと輝度の画質に対する影響の間には依存関係が存在することを確認した.さらに,最小自乗法で5次式で近似することで,その定量的関係を明らかにした.
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