研究概要 |
近年ITS(次世代交通システム)に関係して,多くの研究機関ならびに自動車関連メーカで運転制御ならびに衝突危険予知に関する研究が行われているが,そのほとんどが高速道路を対象としていた.そのため山道や一般市街地などで数多く見られる湾曲した道路では,従来技術がそのまま利用できない.本研究で提案する道路表現モデルの場合,すべての道路を直線道路のように扱うため,道路の湾曲の程度によらず適用でき,さらに従来ITSに関連して開発された技術も活用することができる. 本研究では,単眼カメラで撮像した画像から,進行方向の道路状態を判断し,知能自動車の運転制御を行うための道路表現並びに視覚誘導方法を確立し,その有効性を実道路上での実験を通して実証することを目的とする.本年度の成果は,以下のとおりである. ● ロバストな道路境界追跡と3次元道路形状の復元の確立 現状,道路領域の抽出は,毎回,濃淡情報に基づいて路面領域を抽出し,得られた路面領域を縮小した位置を動的輪郭モデルの初期位置として,道路境界を抽出していたため処理時間がかかった.そこで,本手法では,より高速な道路境界抽出を実現するために,前フレームまでに得られた時系列道路形状情報から次フレームでの道路境界線の位置を予測することで,路面領域の抽出なしに動的輪郭モデルの道路境界への収束を可能にする.また,動的輪郭モデルの収束の安定と最適化をはかるために,想定される代表シーン10種20枚合計200枚の画像を予め学習用データとして用意し,道程輪郭モデルのパラメータの最適化を行った.以上の処理により,安定で高速な道路両端の抽出を可能にした. ● 屋外道路環境での評価実験 車載カメラで撮影した走行時映像を用いて,上記道路追跡並びに3次元道路形状復元手法の有効性の評価を行った.評価の結果,約4000枚の入力画像のうち,約95%で道路追跡が可能であった.
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