大地震発生時に瓦礫に埋もれた人体の検出法として、Xバンドマイクロ波を照射してその反射波に含まれる人体の呼吸運動を検知する手法を開発している。今年度の実績は以下の通りである。 1.瓦礫モデルを用いた実験的検討 (1)実験条件を明確にし、再現性のよいデータを取得するために、ピラミッド形吸収体を張りつめた小型電波暗室を試作した。 (2)実験用の瓦礫モデルを作製した。現実の瓦礫と似た遮蔽特性を得るため、断面が80cm×80cm、高さ1.8mの木製箱に建築資材を詰め込んで瓦礫モデルとした。瓦礫の量により電磁波遮蔽量を制御できる。 (3)上記小型電波暗室内に瓦礫モデルを設置し、その裏側にいる被験者の検知実験を行った。瓦礫にスレート(屋根材)が多く含まれると検知感度が落ちるという結果になった。 2.人体によるマイクロ波反射のシミュレーション (1)ホーンアンテナからの電磁波照射、人体による電磁波の反射をFDTD法で2次元モデルシミュレーションを行った。人体は楕円誘電体で近似した。人体の正面、横に電磁波を放射したときの反射波の様子から、横方向では反射が少なくなると言う結果を得た。
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