研究概要 |
本研究では,認知工学的視点よりウェブコンテンツの評価を行うための基礎的な評価指標を検討し,その評価指標とコンテンツの要素との関連を明らかにすることにより,コンテンツの設計指針の確立を目的とした.平成12年度には「見やすい」,「使いやすい」等の利用者の利便性,ウェブコンテンツの利用時の身体的,精神的負担などの評価基準の検討を行うとともに,色彩,配色,配置等のコンテンツを構成する要素と利便性の一つの指標である作業効率や利用者の「使いやすさ」に対する主観的評価との関連について検討を行った.平成13年度には,ウェブページ設計に関するガイドラインを精査して,画面レイアウトにおける要素の整列性やグループ化に加えて,ハイパーリンクを用いた情報提供の方法や広告として配置される動画などをウェブページ固有の設計要素として選定し,これらの要因が作業効率や主観的評価にどのような影響を与えるかについて検討した.各要因に基づいて設計されたウェブページでの検索作業における作業効率を計測するとともに,各条件のウェブページに対して主観的評価値を収集した.検索時間や主観的評価値に対するウェブページのレイアウトを決定する各要因の分散分析の結果や数量化分析I類により得られた推定モデルのカテゴリウェイトの比較の結果,検索時間および主観的評価に対して整列性に関する要因がもっとも強く影響したことを検証した.情報の提示方法に関して検索時間に有意な差は認めらず,また,カテゴリ分類の一致不一致に関する要因と提示方法との交互作用も有意な差は認められなかったが,コンテンツ提供者の分類方法と利用者の分類方法が一致しない場合に,一括で提示する場合に比較して分割提示する場合の検索効率が低下する傾向にあり,必ずしも分割提示が適しているとは断言できないことを示した.
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