研究の目標:「実環境において自ら環境を認識し、行動計画を立て、行動するロボットの実現」 環境に関する知識を予め与えることなく、ロボット自らが環境内を探索し、環境の特徴点(本研究ではランドマーク)を抽出し、それを基に環境知識をロボット自らが構築する。そして、人間から目的地を与えられた際にこの環境知識を使い、経路計画を立てることで目的地まで自律的に移動出来るロボットを実現することを目標としている。 本年度の研究成果は以下のようである。 ・移動ロボットのナビゲーション実験 実験室内に作られた簡単な通路環境(経路網)において、路面の交差点にはカラーパターンによりランドマークを用意する。ロボットの底面に装置された超音波センサーにより交差点でのカラーパターンを検出し、現在ロボットがどの交差点にいるかを認識する実験。 ・ロボットは予め与えられた経路内を徘徊し、交差点のつながりを学習するが、交差点に入った場合にその交差点が三叉路か、十字路か、五叉路かなどを判断しなければならない。この判断のために本研究ではレーザレンジファインダ(LRF)を用いた認識装置を用いた。特に交差点内では360度の情報を取り入れて現在の交差点がどのようなものであるかを判断しなければならない関係上、LRFを交差点内で一回転させる機構を用いた。 ・一方、移動ロボットでは超音波センサが良く使われる。超音波センサによる測距についても検討をくわえて実用化への問題点を解決した。すなわち、ロボットは走行中前方に超音波を発射し、その反射波から対象物までの距離を測定する。この反射波にはインパルス状の雑音が混入する事が多く、判断に誤りが多く発生する。そのようなインパルス状雑音を除去する効果的な非線形フィルタを開発した。従来、このような場合に有効とされてきたメディアンフィルタに比較してかなりの高性能を実現出来ることを理論的・実験的に明らかとした。
|