研究概要 |
スーパバイザリ制御の構造安定性と初期値問題に関して次の成果を得た。 1.スーパバイザリ制御系の構造的安定性の定義を、切れ変え則を含めた制御系の安定性とし、その必要十分条件を研究対象とした。スーパバイザリ制御系は切り替えスイッチを内包する、切り替えスイッチは不連続な非線形素子であるため、安定解析は基本的にリヤプノフの安定性に帰着される。ここでは先ず、スーパバイザリ制御系の最良切り替え則、最悪切り替え則を明らかにした。ついで構造的安定性を保証するための共通リヤプノフ関数の性質を,制御系の特性-具体的には固有値の値-を幾つかのクラスに分け、明らかにした。 2.スーパバイザリ制御の応用分野として非ホロノミック制御系を取り上げた。非ホロノミック制御を安定化するには適切な切り替えを行う必要があり、リアプノフ関数の直接法により安定化補償器の設計法を構築した。得られた結果を、2輪車及び4輪車のステアリング制御、磁気浮上系、水中移動体の制御に応用し,その有効性を確認した。 3.スーパバイザリ制御系はハイブリッド制御系ともとらえることが出来る。そこで、2タンクハイブリッド制御系の挙動解析を行い、挙動は初期条件に大きく依存し、初期条件に応じて、非周期挙動、周期挙動、カオス挙動等からなることを明らかできた。 4.2Dシステムの安定性を研究し、学習・適応の切り替えによる安定性の条件を明らかにした。またスーパバイザーの切り替え則に、過去の状態を織り込んだ制御則設計理論の糸口をつかむことができた。
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