研究概要 |
本研究は,これまで線形系に対して研究されてきた単純適応制御(SAC)手法を一般的な多入出力非線形系に対して拡張しようとするものである.本年度の主な研究成果を以下に示す. 1.非線形SAC系の基本構成とその安定性. 線形系に対するSACは,出力フィードバックにより強正実化可能なASPR系に対して安定性の保証された制御系が構成できる.本研究では,線形系でのASPR条件に対応する非線形系に対するOFEP(出力フィードバック指数受動)条件のもと,SAC構成の基本となる適応ハイゲイン出力フィードバック制御系が構成できることを明らかにした.また,不確かな非線形項が存在する場合に対するロバストな設計法の提案も行った.前者の成果は,計測自動制御学会論文集で報告し,後者は,KACC 2000および計測自動制御学会九州支部学術講演会で発表している. 2.並列フィードフォワード補償器の基本的設計法 上述のようにSAC手法はOFEP条件を満足する制御対象に対して適用可能である.しかし,線形系に対するASPR条件同様,この条件も実システムにとっては厳しい条件である.この問題に対する一つの解決策として本研究では,非線形系に対するシステムをOFEP化する並列フィードフォワード補償の基本的設計手法の提案を行った.この成果は,計測自動制御学会論文集で報告した.
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