研究概要 |
研究計画に基づいて以下の項目について研究を行った. 1.多入出力システムでの分数次ホールドのゼロ次ホールドに対する優位性の解明 離散時間制御を行う際に,ホールドとしてゼロ次ホールドに代えて分数次ホールドにすると零点の安定性がどのような条件のもとで改善できるかを,多入出力システムの場合について理論的に解明した.その結果,連続時間システムの無限単因子の次数が2と3からなる場合に改善可能であることが明らかになった. 本成果は,次ページの研究発表の項に記したように,第19回計測自動制御学会九州支部学術講演会において「分数次ホールドを用いた多入出力離散時間系の零点」として発表した. 2.階段形ホールドによって近似実現する場合の零点の安定性解明 分数次ホールドはゼロ次ホールドに比べて回路構成が複雑化する問題をもつ.そこで階段形ホールドで近似することが考えられ,近似実現する場合の零点の安定条件を解明することに取り組んだ.その結果,零点の安定条件は理想的分数次ホールドの場合と変わらないことを,コンピュータ解析によって検証した. なお,上述の研究成果のほか,分数次ホールドが時間遅れシステムにおいてもゼロ次ホールドより零点の安定性に関して優れていることを示し,また,多入出力連続時間システムが純虚数零点をもつ場合や行列2次システムの場合に,その離散化モデルの零点の安定条件を解明した.
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