研究概要 |
当初計画に対応して以下の成果を得た. 1)欠陥検出について:a)打音法による内部欠陥の検出:鋼球落下による衝撃音によって人工欠陥を判定した.聴音法(音色により判定する)は,欠陥の有無判定と,スキャンすれば大きさの推定にも有効である.マイクロフォン法(マイクロフォンで採音,機器使用)では,振幅および周波数スペクトルにより,欠陥の無い場合を基準として,欠陥の有無の判定と大きさや深さの推定ができる.b)超音波反射法:反射波により欠陥検出を試みたが,入射周波数の選択が難しく,反射波の初動を正確に判定することは容易ではない. 2)劣化評価について:一軸圧縮負荷により発達するマイクロクラックに伴う劣化(破壊の進展)を対象とした.a)伝播速度:供試体中を,圧縮軸と直交した方向に伝播する縦波および横波の伝播速度は、負荷と共に減少すること,負荷-除荷サイクルのもとでは,再負荷に伴って履歴最大応力で急変すること,破壊応力に近づくにつれて急激に減少することなどが明らかとなった.b)振幅減衰:上の試験で,劣化の進行につれて,振幅減衰は次第に大きくなること,それは高い周波数になるほど顕著であることが分かった. 3)劣化評価法について:a)欠陥の有無判定:聴音法が簡便であり,有効である.マイクロフォン法も有用であるが,基準となるデータが必要である.b)欠陥の大きさと深さ:聴音法によれば,大きさはほぼ推定できる.深さの判定は難しい.マイクロフォン法では,基準となるデータがあれば,大きさも深さも推定できる.現実的な方法としては,聴音法が,さらに精査の必要があれば,超音波反射法を適用する.c)均質な劣化は,超音波の伝播速度,振幅減衰などから評価することができる.
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