研究概要 |
本年度は,焼却炉の形式(ストーカー炉と流動床炉)や非ガス処理方法(乾式と湿式)が異なる清掃工場より飛灰を採取し,飛灰の水混練に伴う有害重金属(特に,Pb,Cd,Cr^<6+>)の不溶化現象を溶出試験(環境庁告示13合法)により把握した。まず,収集した飛灰を水分添加率(0〜60%まで4とうり)と放置期間を変化させ,溶出液の重金属濃度と同時に溶液のpH,アルカリ度,無機塩類濃度(特に,Ca)を測定した。さらに,飛灰の成分分析を行い,有害重金属,塩類の含有量と溶出濃度の関係から有害重金属の不溶化のメカニズムについて考察した。その結果,溶出液中のpHやアルカリ度は低下し,有害重金属の溶出量は原灰の溶出量よりも小さく,安定した化合物に変化していることを確認した。この水混練に伴う飛灰中の鉛の不溶化のメカニズムは,(1)水混練に伴う飛灰中の鉛の高アルカリ水への溶解,(2)飛灰中のCa(OH)2と大気中の炭酸ガスとの反応による炭酸塩の生成,(3)この生成過程における保有水中の鉛の炭酸塩への取り込み等が関与していることを示した。(島岡・宮脇) 次に,コンクリートに用いるため飛灰の密度や粒度分布の測定を行った。粒度分布の測定は設備備品費で購入したレーザー回析式粒度分布測定装置によって,飛灰の平均粒径や粒度分布の測定を行った。その結果,清掃工場により飛灰の物理的特性は著しくことなること,飛灰の平均粒径はセメントのそれと比較して若干小さいことなどを明らかにした。(添田・大和)
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