研究概要 |
本年度は12年度で得られた結果に基づき,実際にコンクリートを練混ぜ,焼却飛灰を混入したポーラスコンクリートの有害物質の溶出特性および強度・透水特性などについて検討するとともに,植生実験を行い植生コンクリートとしても利用可能かを明らかにした。ポーラスコンクリートの配合は水結合材比を25%と一定にし,ペーストのフロー値を200±10mm, C : SF : FAの割合を容積比で7:1:2,8:0:2の2種類とし,骨材の実積率より求めた骨材空隙に対する結合材の充填率を40,50,60%の3水準とした。なお,焼却飛灰はあらかじめ水と1:1の割合で混合し,7日間エージング処理したものを混練の際に用いた。 本研究で得られた結果を要約すると以下の通りである。 (1)焼却飛灰は高濃度の重金属を含有しているが,前処理を行うことによりPbが不溶化し,さらにセメントの固化により環境基準以下に抑制された。(島岡・宮脇担当) (2)焼却飛灰を混入したポーラスコンクリートも空隙充填率に大きく依存し,空隙充填率をある程度高く設定することにより,圧縮強度10.0N/mm2,曲げ強度2.0N/mm2を満足することができる。 (3)透水係数と空隙率および圧縮強度には高い相関性が認められ,焼却飛灰を混入したポーラスコンクリートも十分な透水性能をもっている。 (4)焼却飛灰に多量に含有する塩分による植物の生育への影響はなく,空隙充填率つまり空隙を十分確保することにより緑化コンクリートとして十分可能である。(添田・大和担当) 今後の課題としては、ポーラスコンクリートそのものの強度が低強度であることから、これが一部崩壊した場合、骨材表面に付着した焼却飛灰を含んだペーストが流出し易くなり、そのぶん重金属類が溶出し易くなることが予想される。そのため、今後は重金属類の長期安定性について検討を行って行く予定である。
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