研究概要 |
本研究は飛灰のエージングによる重金属の不溶化現象を利用し,ポーラスコンクリートや透水性舗装材等のコンクリート製品へ利用が可能かどうかを明らかにするため,製品としての強度特性,透水性,重金属の溶出特性を把握し,資源循環型社会に向けた有効利用技術を開発したものである。 本研究で得られた結果を要約すると以下のとおりである。 (1)焼却炉の形式や非ガス処理方法が異なる清掃工場より飛灰を採取し,飛灰の水混練に伴う有害重金属の不溶化現象を溶出試験により把握した結果,溶出液中のpHやアルカリ度は低下し,有害重金属の溶出量は原灰の溶出量よりも小さく,安定した化合物に変化していることを確認した。 (2)焼却飛灰を混入したポーラスコンクリートは,空隙充填率をある程度高く設定することにより,圧縮強度10.0N/mm2,曲げ強度2.0N/mm2を満足することができる。 (3)透水係数と空隙率および圧縮強度には高い相関性が認められ,焼却飛灰を混入したポーラスコンクリートも十分な透水性能をもっている。 (4)焼却飛灰に多量に含有する塩分による植物の生育への影響はなく,空隙充填率つまり空隙を十分確保することにより緑化コンクリートとして十分可能である。 (5)エージング処理した飛灰の中性化深さ,塩分量は共に,焼却飛灰混入率が増加するに伴い増加する傾向にあった。 (6)焼却飛灰中に内在する塩素イオンが多い場合は,鋼材の腐食が促進されることが明らかとなった。 (7)エージング処理した飛灰のコンクリートからのPbの溶出は環境基準値以下になった。
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