研究概要 |
集成材主桁上面に垂直方向に加工されたスリット(溝)に、デッキプレートに溶接された縦平リブ(上リブ)を落とし込み、エポキシ樹脂で接着接合する。桁下面にも鉛直方向に加工されたスリットにリブ(下リブ)を挿入し、接着接合して桁の剛性を向上させると共に、正曲げによる桁の脆性破壊を鋼の延展性で防止する。本研究の初年度では曲げに伴うせん断力が上下リブ側面かつ橋軸方向にどのように分布するのかを梁理論を基礎として解明した。 2年目に当たる本年度では、曲げ耐荷力を予測する基礎研究を行った。すなわち、上述のように挿入接着接合されたリブ(デッキプレートを有しない)をもつ矩形断面集成材はりを対象として、始めに上リブの上縁および下リブの下縁が、鋼材の降伏点に達するときの降伏曲げモーメントM_y、を梁理論から求めた。この時集成材はりの上下縁は弾性状態にある。ついでリブ内部へ降伏領域が進行し、リブ全域が降伏するときのリブ全塑性曲げモーメントM_p、を算定した。さらに集成材上下面が曲げ破壊強度(5%下限値)に達するときの終局曲げモーメントM_uを求めた。 許容応力度設計法で設計された、米松集成材(断面b×h=105×296mm,曲げ強度435kgf/cm^2,上下リブ断面h_s×t_s=45×4.5mm,降伏応力度3600kg/cm^2,スパンL=4m)のヤング係数比はn=14である。この断面の許容曲げモーメントをM_a、とすると上述の曲げモーメントの比はM_a:M_y:M_p:M_u=1:1.7:2.4:2.7となる。二点裁荷実験によるM_uはこの予想値を19%上回った。
|