研究概要 |
本研究は実橋に生じた疲労き裂の進展性を定量的にかつ高精度に評価するための実用的な手法を確立することを目的としている.そのために,画像計測技術を導入することによって適用性の高い手法とすること,および実橋のき裂部材の変形挙動を正確にとらえることにより高精度化を図ることの2点に主眼をおいて研究を行った.本年度はModel(引張型変形)応力拡大係数の計測精度の検証について重点的に研究を行った.具体的な成果は以下の通りである. 1.溶接継手試験体を対象として,画像計測によってき裂開口変位を測定し,それからModel応力拡大係数を推定する手法について検討し,精度の検証を行った.その結果,本研究で用いたシステムの場合,7MPa√m以上の応力拡大係数であれば10%程度程度の誤差で応力拡大係数ができることなどを明らかとした. 2.実際の橋梁への適用に当たっては,橋梁の振動下において計測を行う必要がある.繰返し載荷中の試験体に対してデジタルビデオでき裂の挙動を記録し,それをもとに画像計測によりき裂の開口変位を計測することを試みた.その結果,周波数が5Hz以下の振動下においては,精度よくき裂の開口変位を計測できることが明らかとなった. 3.実橋に生じた疲労き裂の挙動をデジタルビデオで記録し,その特性を明らかにした.対象としたき裂は全体の振動を伴って開閉口するが,その周波数は1Hz程度であり,2.で示した周波数の適用範囲内におさまっていることなどを明らかとした.
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