近年鋼道路橋の設計・製作・架設の合理化・省力化の観点から多く建設されている少数主桁橋に関して、車両走行荷重による三次元動的応答解析を実施した。 今年度の研究に至るまでに、支点(桁の拘束条件)を鋼製支承とし、主桁は梁要素、床版に関しては板要素とした3次元応答解析を実施してきた。今年度は、阪神大震災後耐震性向上を主眼として数多く取り入れられている弾性支承を考慮し、交通振動の観点よりその影響を評価した。また、主桁の腹板に関しても板要素を導入し、腹板の面外方向の振動特性を明らかとした。 1.弾性支承による影響 弾性支承化により、床版端部での伸縮継ぎ手部段差通過による衝撃的な起振の影響が大きく現れることが明確となり、局部的に鉛直加速度は150gal程度に達する。 2.床版の鉛直振動 少数主桁化による床版スパン長増加がもたらす影響について解析により明らかとした。低周波領域での鉛直振動が懸念されたが、この振動成分は現れなかった。ただし、横構の省略等によりもたらされるねじり剛性の低下により、主版には主桁のねじり振動成分の影響が大きく現れた。 3.腹板の面外方向振動の評価 少数主桁化により懸念される低周波振動に関して、床版の鉛直方向振動に加えて腹板の面外方向振動の状態を明確にした。横桁との結合部付近では、主桁のねじり振動の影響により3Hz付近の振動が卓越し、垂直補剛材に囲まれた腹板パネル中央付近では15Hz以上の高周波振動成分が卓越することが明らかとなった。 なお、上記の解析においては、試験車走行実験との結果を比較することにより、解析モデル・解析方法の妥当性を確認した。
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