研究概要 |
本研究では、まずΔτ_d=τ_y-τ_iの大きさと破壊伝播速度の関係を調べ、次にジョイント要素のばね定数と破壊伝播速度の関係を調べた。そして3次元解析結果と2次元解析結果の比較検討を行ない、2次元解析で実際の3次元現象が表現できるか否かを検討した。次に、どの程度実際の地震を再現できるかを調べるために、2000年鳥取県西部地震を対象にしてシミュレーションを行った。最後に、オンライン断層破壊過程シミュレータの開発を試みた。 以下に得られた主な結果を示す。 (1)破壊伝播速度がせん断速度の0.9倍になるジョイント要素のΔτ_dの大きさを決定した。 (2)適切なジョイント要素のばね定数を破壊伝播速度との関係で決定した。 (3)断層長さが長くなるにしたがって平均くい違い量は大きくなり、2次元解析結果に近づくことが明らかになった。そしてその関係を回帰式で表した。 (4)断層直上の点では2次元解析結果と3次元解析結果の波形の間に比較的よい一致が見られたが,断層からの距離が遠くなるに従ってその差が大きくなった。 (5)加速度,速度波形の最大値は2次元解析結果からほぼ直接推定することができ,変位波形の最大値は2次元結果を用いて回帰式で表せばほぼ推定可能であることが分かった。 (6)鳥取県西部地震のシミュレーションでは、くい違い量に関しては,他の研究による値をほぼ再現することができた。速度波形に関しては,米子観測点で両者の差が最も大きかった。一方,日野観測点の加速度記録は地中の観測波であり,表層地盤の影響が少ないので最も差が小さかった。 (7)インターネットを利用することにより、時間や場所、パソコンなどの使用機種などにかかわらずシミュレーションを行うことが本研究によって可能となった。またモデルのデータ作成や結果の表示など、今までと比較して極めて短時間で簡単に行うことができるようになった。
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