鋼橋の低コスト化を図るためには、桁製作時の溶接加工量を削減することが有効である.そのためには鋼管やH形鋼などの製鉄所で製造される製品を利用したり、鋼板をプレスにより冷間成形して主桁にする方法が考えられる.また、コンクリートと鋼の合成を図ることも有効であり、従来用いられているRC床版との合成桁のみならず、鋼部材の中にコンクリートを充填し局部座屈を抑制する主桁構造が考えられる.本研究は、これらの設計思想に基づき5つの新しい橋梁形式を創造し、実験および解析により構造特性および設計方法を検討した.(1)鋼管を主桁とするエッジガーダー形式の鋼管斜張橋を提案し、その最適主塔高さを研究した。長大斜張橋に対しても本形式は適用可能であること、従来の鋼床版箱桁を有する斜張橋に比べて主塔高さを20%程度低く出きること、経済性に優れることを見出した.(2)吊橋および斜張橋用の合成主塔を提案し、その静的設計および耐震設計を実施し、その妥当性・合理性を検討した。(3)吊橋とアーチを組み合わせた「吊りアーチ橋」を考案し、スパン200mの歩道橋を対象とし、構造特性を研究した.吊りアーチ橋では、荷重をアーチリブとケーブルで分担できるため、吊橋より剛性が高く、アーチ橋よりアーチリブに発生する圧縮軸力が低減できることを見出した.(4)圧延H形鋼を主桁とする新形式の複合桁橋を考案した.支間中央の正曲げモーメントに対しては合成桁とし、中間支点部はRC橋脚と一体化したSRC構造とした.この形式に関し試設計を実施し、従来の圧延H形鋼を用いた桁橋の適用スパンを大幅に拡大できることを見出した。(5)鋼I桁のフランジ・ウエブで囲まれた領域にコンクリートを充填し、その曲げおよびせん断強度を実験により求めた。コンクリート充填桁は、鋼桁の2倍以上の強度を示した。
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