研究概要 |
本研究では,落橋防止装置の緩衝材として,ゴム管と鋼管を併用した緩衝材について,基礎特性及び動的特性を静的圧縮試験及び動的応答解析によって検討した.静的圧縮試験より,鋼管の外側にゴム管を巻く形式の緩衝材の荷重-変位関係は,それぞれの部材の基本特性から精度良く予測できる.そこでモデル化の妥当性を確認するために再度ゴム厚,鋼管厚等の寸法を変えて静的載荷実験を行い,ゴム鋼管併用型緩衝材の力学モデルを再検討した.またゴム鋼併用型緩衝材が,橋梁システム全体系の動的挙動にどのような役割,効果をもたらすかについて検討するために,ゴム鋼併用型耐震緩衝材を有する免震橋の動的応答解析を行い,その実用性ならびに有効性を検証した. 本研究から得られた結論を以下に示す. 1)ゴム鋼併用型耐震緩衝材の荷重-変位関係のモデル化においてゴムから鋼管への力の伝達特性の部分に不明確な部分がある.荷重の分布幅をどう評価するかが今後の課題である.それ以外の特性では精度良くモデル化できる. 2)鋼管と比べ衝突力を低減でき,さらにエネルギー吸収量も大きい.また急激な衝突力の上昇をゴムの低剛性,ひずみ硬化の性質によって抑え,桁と接触している時間が長いため,緩衝材としての機能時間が長い. 3)鋼管と比べ衝突によって生じる応答変位および応答加速度の増加を抑えることが出来るため,他の部材や支承などに与える影響は小さいといえる. 4)遊間が広く,隙間が広い場合,緩衝装置自体の圧縮変形量が小さく,ゴムだけの変形によってエネルギーを吸収しようとするため逆に吸収エネルギー量は鋼管より小さくなる可能性がある.一方,衝突力はゴムだけの変形なので小さくなると考えられる. 5)衝突前の桁の最大応答速度がわかれば簡単な計算で,必要とする緩衝材の個数を設定することが可能である.但し,緩衝材だけで桁の運動エネルギーを直接吸収させることは非合理的である.
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