研究概要 |
本研究課題に対して研究実施計画に基づき研究を進めた結果、以下のような成果が得られた。 1.巨視的な不連続面のせん断強度発現機構の解明 不連続面のせん断強度は垂直応力に依存して非線形となることが実験的に観測されているが、そのメカニズムについては明らかにされていない。本研究では、不連続面の形状が様々な次数の凹凸によって形成されているという視点に立ち、垂直応力と凹凸に対するダイレイションならびに凹凸自体のせん断の関係よりそのメカニズムを解析的に明らかにした。 2.巨視的な不連続面のせん断強度モデルの開発 前項の成果より、不連続面の形状評価が重要であることを認識した上でRengers(1971)の形状評価手法を採用し、様々な不連続面形状に対するRengers曲線の特性とせん断強度の関係を求めた。その結果、実岩盤不連続面におけるは垂直応力とせん断強度の非線形性を高い精度で予測でき、しかも簡便なせん断強度モデルを開発することができた。 3.微細な不連続面を多数内在する岩盤の強度異方性モデルの開発 微細な不連続面を岩盤の解析モデルに挿入し、個数・方向・配置の各因子による影響を境界値問題として数値解析的に求めることができた。しかし、実岩盤では無数に存在する微細な不連続面を境界値問題として解析することは、解が得られたとしても実用上問題がある。実務的側面から今後継続的に研究する必要がある。 4.巨視的及び微視的不連続面を含む岩盤の実務的安定性評価のための事例研究 既述のように、巨視的・微視的を問わず不連続面が規定できれば境界値問題としての岩盤の安定性評価は可能となっている。巨視的不連続面の取扱いについては前記1.,2.で触れたように基礎的研究は完了している。微細な不連続面の取扱いについては実用上の点で問題が残っているが、この点を明らかにすることによって、本研究課題の目的は達成することができる。
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