研究概要 |
(1)重金属(銅)の土粒子への吸着・脱離特性を砂,シルト,火山灰土に対して計測した.吸着特性として,陽イオン交換容量(CEC)を比表面積で除した表面電荷密度も,吸着特性に影響を及ぼす重要な要因の1つとして考えられ,この値が小さい土ほど,吸着量は大きくなることがわかった.また,吸着電荷当量をCECで正規化すれば,固液比の違いは少なくなり,ユニークな吸着等温線を描くことが出来る. (2)初期吸着量を同じにすると,溶出率はシルト,砂,火山灰土の順に小さくなり,固液比には依存しないことがわかった.しかし,同一試料で,固液比と初期吸着量の影響を調べたところ明瞭な関係は見いだせなかった.溶出試験で使う供試体の初期吸着量が比較できるように統一されていないためである.現在,追加の実験中である. (3)埋立分場からの浸出水中の重金属濃度は降水の影響よりも,処分場内部の土質との吸着作用が強く影響することを,模擬処分場からの浸出水計測結果の分析と試作したセルモデルによる計算結果から明らかにした. (4)溶質の分散特性として,飽和度と流速依存性を明らかにし,カラム試験で得られる破過曲線の形状に土質によって決まるユニークな規則性があることを見出した.溶質の平均滞留時間は実流速によって一定になるが,溶質滞留時間の分散は飽和度が低くなるほど大きくなることがわかった.増加率は粒径の大きな試料ほど大きくなることもわかった.
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