研究概要 |
昨年は銅を吸着質に選び,砂,シルトを吸着剤にした実験を行ったが,今年度は,新たにカドミウム,クロム,鉛を吸着質に,ゼオライト,ガラスビーズを人工材料の吸着剤として試験した.年度当初の実施計画(3)の既設処分場におけるサンプリングと溶出試験は,サンプリング可能な処分場が得られず未解決課題として残った.しかし,バッチ試験に加えカラム実験を実施したこと,溶出試験終了時のpHの計測を実施したこと,から,環境試験としての溶出試験の位置づけ,試験結果の指標化に関して有用な指針を提案することが出来た. 平成13年度実施計画の番号にしたがって,今年度の研究実績をまとめると以下のようになる. (1)初期吸着量の等しい重金属汚染土を作成する吸着試験から,吸着平衡時の平衡濃度-吸着量の関係は大部分の実験でFreundlich式でよく表現でき,式中のパラメータl/nは吸着重金属だけに依存し,土質による値の変化は小さい,パラメータKfは土質特性(比表面積,陽イオン交換容量)に依存し,吸着質による違いは小さいことがわかった.溶出試験終了後の平衡濃度-吸着量の関係も吸着試験と同じ傾向になることがわかった.しかしながら,溶出試験の結果を平衡濃度,溶出率で評価する場合には,固液比によって値が変化するので,環境指標としての溶出試験の位置づけを明確にするには,溶出量を溶出原単位として採用することが適当であるとの結論に達した. (2)バッチ試験とカラム試験の結果を比較したところ,カラム試験で得られる溶出量がバッチ試験の数倍から十数倍になり,環境指標を得るための溶出試験としてバッチ法を用いると,溶出量を少なく評価する危険性のあることがわかった.
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