研究概要 |
本研究は,1)土砂斜面上の落石の運動に及ぼす斜面勾配の影響,および2)落石が落石覆工に衝突する際の衝撃力に及ぼす敷砂緩衝材の影響を定量的に調査することを目的とする。今年度は2年計画の1年目ということで2)について実験的研究を行った。 直径98mmの平底の重錘(落石に相当する)を,内径180mm,高さ300mmのモールドに充填した3種類の乾燥密度からなるまさ土(敷砂緩衝材に相当する)上に,落下高0〜50cmの7通り,重錘質量3.10〜6.97kgの5通りの組合せにて落下させ,重錘貫入量,重錘加速度,およびモールド底面土圧を測定した。その結果,以下に示す新しい知見が得られた。 1.重錘貫入量は,重錘運動量より打撃エネルギーの影響を強く受け,そのべき関数で表される。 2.重錘の最大加速度および平均加速度は,重錘の衝突速度を重錘質量で割った値のべき関数で表される。 3.衝撃持続時間は,落下高には関係なく重錘質量の増加ととも大きくなり,そのべき関数で表される。 4.モールド底面最大土圧は,重錘運動量より打撃エネルギーの影響をやや受け,そのべき関数で表される。 5.衝撃波伝播速度と衝撃圧力伝達率(土の表面に加わった衝撃圧力がモールド底面に到達する割合)は,ばらつきが大きいものの,落下高,重錘質量の影響をほとんど受けない。 6.敷砂の密度の増加がするにしたがって,重錘貫入量および衝撃持続時間は減少し,衝撃力(重錘加速度×重錘質量),底面土圧および衝撃波伝播速度は増加する。また,衝撃圧力伝達率は敷砂の密度の影響をほとんど受けない。 来年度実施予定の"土砂斜面上の落石の運動に関するシミュレーション解析"に使用する入力パラメータを決定するために,土と落石(岩石)の間の摩擦係数を一面せん断試験により求めた。
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