研究概要 |
大気の地表面近くの接地境界層は地表面の影響を受けて、大気乱流が発達する.このような場合の乱流特性、運動量、水、熱の輸送量を測定し,解析するための野外観測を新潟県南蒲原郡中之島町の水田上において行った.その結果、乱流が発達した状態のもとで、風速分布はモーニン・オブコフの相似則に従い,輸送量の簡易推算法である分散法や風速分散法が適用可能であることを示した. 大気の接地境界層内の乱流輸送を取り入れることのできるモデルとして,融雪量を融雪機構ごとに算出するモデルを開発し,それを流域単位の分布型融雪流出モデルとして信濃川支川である魚野川流域(流域面積355平方km)について適用した.その結果,流域出口での流量、あるいは人工衛星画像より得られる積雪面責率をモデル計算値と合わせるためには、気温の分布と降雪量の分布について、モデル化が必要であることを明らかにした.このモデルで計算される積雪水当量分布を実測の結果と比較すると、モデルは大きめに見積っているようであり,モデルへの大気の接地境界層乱流メカニズムをとりいれたさらなる改良が必要であることが示唆された.
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