研究概要 |
本年度は,砕波に伴う気泡連行に関する基礎的な研究を中心に行った.まず,砕波という非定常な現象を,円形断面を有する定常な鉛直プランジングジェットで模擬し,水理模型実験により気泡連行特性を詳細に調べた.特に,現地海岸における実現象を実験室で再現する上で問題となる気泡連行の相似性について,スケールの異なる3種類の模型にフルード則を適用して行った実験結果から,ウェーバー数などの影響を議論した.また,海水に含まれる塩分の影響が気泡連行にどのように現れるかについて,実海水,塩水,水道水を用いた実験により調べた.その結果,塩分の影響により,連行される気泡径は小さくなり水中の気泡数が増加するが,逆に気泡濃度は減少することが明らかになった. 次に,2次元造波水路における実験により,砕波に伴う気泡連行特性について詳細に調べ,砕波時の気泡分布特性を明らかにした.また,時間平均した気泡・流体場でのポテンシャルエネルギーの逸散率を見積もる簡単な理論を提案し,これによって推算されたエネルギー逸散率と砕破に伴う全エネルギー逸散率との比較を行った.この結果,砕波による気泡連行については,全エネルギー逸散の20%程度が気泡と関連づけられることがわかった.さらに,気泡連行量を波高などの波パラメターと関連づけることにより,気泡連行量を直接考慮した砕波減衰モデルを提案し,モデルによる計算値と実験結果を比較することにより,モデルの妥当性について検討した.
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