河川やダム貯水池における浮遊砂濃度の観測には、一般に濁度計による連続観測とボトル採水が併用されているが、濁度計は光学的手法であることから長期安定性や高濃度測定に課題があり、一方、ボトル採水は、手間がかかる上に小流域では短時間で到達する洪水ピークを逃さずに採水を行うことが難しいのが現状である。 そこで、本研究では、浮遊砂濃度の新しい計測法として、差圧計によって流体中の密度を直接測定する手法を検討する。測定原理は、一定間隔で設定された2つの圧力検出口間における水の密度変化を高精度の圧力差検出器により計測することによりSS測定を行うものである。この手法は、連続測定が可能なことと、差圧計測による流体密度の直接測定により、高濃度計測可能であることを特徴としている。 平成13年度は、平成12年度に引き続き実際の貯水池(天竜川水系美和ダム)を対象に連続観測によるフィールド試験を実施し、現地における実際の流れ・濁質分・温度の変化などに対する計測安定性を調査した。8月及ぴ9月に発生した台風に伴う洪水流入時には、流入した高濃度の流水の通過を本システムにより捉えることができ、現地においても本計測法が適用可能であることを確認した。 また、平成13年度においては、ダムからの排砂時の高SS濃度を計測するためのシステムとしての実用性も検証しており、黒部川において河川から取水した循環水を対象にSS濃度の連続観測を行っている。6〜7月における黒部川出し平ダム・宇奈月ダムの連携排砂においては、下流愛本地点におけるSS濃度観測を行い、他の方法による観測結果との関係についても検討を行った。
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