研究概要 |
1)推定モデルの改良 昨年までに作成されてきたモデルにおいては、OD交通量やOD旅行時間を直接状態変量として用いてきた。道路ネットワークが大きくなりO(起点)、D(終点)の数が多くなるとODペアの数も級数的に増加し、演算時間も必然的に増加する問題を有していた。各セグメントにおける交通状態を状態変量として再定式化を行い、OD旅行時間を段階的、間接的に推定する手法の確立を図り、定常的な交通状態のみではなく,車線閉塞に伴う交通渋滞状態も感知器データによるフィードバック作用によって,より精度良く推定することが可能であることを示した.また、カルマンフィルタを利用した交通状態の推定及び交通状態推定値に基づいたOD旅行時間を推定する際には,観測地点数が多いほど精度の高い推定結果が得られることも実証的に示した。 2)個別車両の動的交通データの影響分析 交通流シミュレーションソフトウェアIntegrationによって作成された仮想データを用いて個別車両のアップリンクデータと車両感知器データを組み合わせることによって交通状態を推定するために、カルマンフィルターに定式化を行うとともに、Probe車両によって交通状態の推定精度がどの程度向上するか分析を行った。車両感知器データのうち速度データの寄与が大きいこと、マクロ交通流モデルによる予測が精度向上に寄与すること、さらに5%程度のProbe車両によって大きな精度向上が期待できることを示した。 3)予測モデルの感度分析 マクロ交通流モデルやニューラルネットワークモデル内で用いられているいくつかのパラメータを対象として、それらが予測精度に及ぼす影響について分析を行い、交通状況に応じてパラメータを同定する手法の提案と有効性の検証を行った。
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